第11回日本ヘルスサポート学会総会・学術集会が、以下のとおり開催されました。
I. 開催趣旨
健康経営は、マスメディアに多く登場し政府の政策として積極的に推進される、ホットなテーマとなっている。現在、健康経営について、企業の経営戦略論の観点からそのあるべき姿・モデルを巡る議論や医療政策の観点からベストプラクティスの顕彰・効率的効果的保健事業の普及などの取組がなされている。
健康経営が対象とする集団は、職域の集団、健康保険の被保険者・被扶養者などの集団である。ヘルスサポートは、集団と個人に対して健康支援を行い、よりよき健康を実現するための活動である。健康経営は、企業が経営戦略として、主として企業の構成員である職域の集団、そして家族に対して、ヘルスサポートに取り組む経営である。
健康経営は、その名が示すように企業がその組織を動かす経営の一環であるが、健康経営を効果的に実践しようとすると企業単体で実現することは難しく、多くの関係者の協力参画が必要になる。健康経営を成功させるためには、企業と密接な関係がある健康保険組合とのコラボレーション、職域におけるヘルスサポートの専門家である産業医・産業保健職の積極的参画、ヘルスサポート関係の専門サービス事業者の活用、そして従業員とその家族の積極的参画は、欠かせない。現に健康保険組合等の医療保険者が実施するデータヘルスの進展に伴い、雇用主・企業とのコラボレーションを重視するコラボヘルスの重要性・必要性が認識されてきた。
また、米国を中心とするグローバル企業のなかには、企業が従業員とその家族に健康保険サービスを提供するという特徴もあって、コラボレーション的なヘルスサポートに企業のイノベイティブな能力を生かして取り組んでいる企業がある。企業は製品・サービス開発のイノベーションに骨身を削りその能力を高めてきた。社会的にみると、企業が持っているイノベイティブな能力が健康経営に生かされ、集団と個人の健康支援が発展するのではないかとの期待も大きくなっている。
健康経営は、単にヒエラルキー構造の組織を動かすのではなく、関係者がフラットな関係でインターラクションを重ねるなかで発展している途上にある。健康経営に関する関心の高まり・議論の活発化が進むなか、様々な取組が行われており、健康経営を実現するヘルスサポートを実施するための課題・方向性もはっきりしつつある。また、今後展開するであろう健康経営の次世代の姿を具体的に描くためには、日本だけでなく、米国のイノベイティブな取組も大いに参考になる。
今回の学術集会では、「みんなが創る健康経営を目指して-健康保険者・企業・産業保健職の役割と課題」を大会テーマとしている。発展途上にある健康経営のヘルスサポートを関係者が一致協力して効果的に実践するには、それぞれがどのような役割を果たし、どのような課題に取り組むかについて、グローバルな参考例を提供しつつ、今後どのような方向を目指しその実現のために何をすべきかを探る討議の場を提供することとしたい。
II. 総会・学術集会プログラム
◆メインテーマ
「みんなが創る健康経営を目指して-健康保険者・企業・産業保健職の役割と課題」
◆日時
2016年9月6日(火)10:00~18:00
◆会場
慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
◆大会長
目黒昭一郎(麗澤大学大学院 経済社会総合研究センター)
◆実行委員長
武林 亨(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学)
ベストポスター賞受賞者はこちら 第9回学会賞表彰式の模様はこちら
1.大会長講演「経営的視点からみた今日的な課題と対応
-「健康経営」を実現する人と組織のマネジメント-」
目黒昭一郎(麗澤大学大学院 経済社会総合研究センター)
講演資料(PDFファイル)
2.ランチョンセミナー 共催:アッヴィ合同会社「データヘルスにおける労働生産性評価の意義」 藤野善久(産業医科大学医学部公衆衛生学)
3.教育講演「健康経営のグローバルな視点・新たな視点
Healthy Companies And Innovation From A Global Perspective」
Gregg L. Mayer (Gregg L. Mayer & Company, Inc., )
河野敏鑑(専修大学ネットワーク情報学部)
4.総会
5.シンポジウム「先進事例に学ぶ、健康経営を実現する健康保険者・企業・医療保健職の役割と課題」
「データ DE コラボ」
齋藤隆夫(デンソー健康保険組合)
「健康経営に貢献するオフィス環境づくり」
加藤 洋介(株式会社イトーキ SL開発本部SL開発統括部)
「健康経営の進め方~会社と健保の立場から~」
土肥誠太郎(三井化学株式会社本社健康管理室)
シンポジウムの様子