第11回学術集会・総会を開催いたしました。

第11回日本ヘルスサポート学会総会・学術集会が、以下のとおり開催されました。

I. 開催趣旨

<みんなが創る健康経営>健康経営は企業経営の一環であるが、健康経営を効果的に実践しようとすると企業単体で実現することは難しく、多くの関係者の協力参画が必要になる。健康経営を成功させるためには、企業と密接な関係がある健康保険組合とのコラボレーション、職域におけるヘルスサポートの専門家である産業医・産業保健職の積極的参画、ヘルスサポート関係の専門サービス事業者の活用、そして従業員とその家族の積極的参画は、欠かせない。また、健康保険組合等の医療保険者が実施するデータヘルスの進展に伴い、雇用主・企業とのコラボレーションを重視するコラボヘルスの重要性・必要性が認識されてきている。企業・健康保険者・産業保健の専門職などの関係者が一致協力し、それぞれの役割を果たしていくことが求められる時期に来ている。

<発展途上の健康経営と今後の展望>企業は製品・サービス開発のイノベーションに骨身を削りその能力を高めてきた。情報通信技術の劇的進展や健康経営に関する産学協働の動きがあるなかで、企業が持っているイノベイティブな能力が健康経営に生かされ、集団と個人の健康支援が推進する動きも始まっている。健康経営は、いま新しい段階に向けて発展する途上にある。発展途上にある健康経営のヘルスサポートを効果的に実践するには、それぞれがどのような役割を果たし、どのような課題に取り組むかについて、グローバルな参考例を提供しつつ、今後どのような方向を目指しその実現のために何をすべきかを探る討議の場を提供することとしたい。

II. 総会・学術集会プログラム

◆メインテーマ

「みんなが創る健康経営を目指して-健康保険者・企業・産業保健職の役割と課題」

◆日時  2016年9月6日(火)10:00~18:00

◆会場  慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール

◆大会長 目黒昭一郎(麗澤大学大学院 経済社会総合研究センター)

◆実行委員長 武林 亨(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学)

第9回学会賞表彰式の模様はこちら

 

1.大会長講演「経営的視点からみた今日的な課題と対応

-「健康経営」を実現する人と組織のマネジメント-」

目黒昭一郎(麗澤大学大学院 経済社会総合研究センター)

1_%e7%9b%ae%e9%bb%92%e5%85%88%e7%94%9f%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

 

2.ランチョンセミナー 共催:アッヴィ合同会社「データヘルスにおける労働生産性評価の意義」 藤野善久(産業医科大学医学部公衆衛生学)

 

3.教育講演「健康経営のグローバルな視点・新たな視点

Healthy Companies And Innovation From A Global Perspective」

Gregg L. Mayer (Gregg L. Mayer & Company, Inc., )

3_gregg%e5%85%88%e7%94%9f%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

 

河野敏鑑(専修大学ネットワーク情報学部)

2_%e6%b2%b3%e9%87%8e%e5%85%88%e7%94%9f%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

講演資料(PDFファイル)

 

4.総会

 

5.シンポジウム「先進事例に学ぶ、健康経営を実現する健康保険者・企業・医療保健職の役割と課題」

「データ DE コラボ」

齋藤隆夫(デンソー健康保険組合)

4_%e9%bd%8b%e8%97%a4%e6%a7%98%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

 

講演資料(PDFファイル)

 

「健康経営に貢献するオフィス環境づくり」

加藤 洋介(株式会社イトーキ SL開発本部SL開発統括部)

5_%e5%8a%a0%e8%97%a4%e6%a7%98%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

講演資料(PDFファイル)

 

「健康経営の進め方~会社と健保の立場から~」

土肥誠太郎(三井化学株式会社本社健康管理室)

6_%e5%9c%9f%e8%82%a5%e6%a7%98%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

講演資料(PDFファイル

 

 

シンポジウムの様子

7_%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%a8

 

6.ベストポスター賞

第11回ベストポスター賞受賞発表 紹介原稿

受賞者(所属) 演題 発表内容要約
久保 達彦

(産業医科大学 公衆衛生学)

災害時診療概況報告システムJ-SPEED

-熊本大地震における実運用と国際標準化に向けた進捗

フィリピンにおける自然災害を対象としてフィリピン保健省とWHO は、災害時診療概況報告システムSPEEDを協同開発した。このSPEEDモデルを参考にして日本版SPEED(J-SPEED)が開発された。本年4 月14 日に発生した熊本地震では、被災地に参集した災害医療チームによって災害時医療概況報告システムJ-SPEED が初運用され、1,828 件の報告が電子的になされ累計8,089 人の患者の診療概況が登録され、医療班の日々の指揮に役立てられた。特に、情報通信技術の進展を受けて、データ入力・日報作成作業等は疲弊する県庁職員ではなく被災地外で実施する仕組みを導入し、被災地内の負担軽減が図られた点は注目される。現在、SPEEDモデルは、国際標準化が進められており、今後の実装と効果が期待されている。
藤野 善久

(産業医科大学 公衆衛生学)

労働機能障害による事業所診断 コラボヘルスの取り組みの一環として、自社および他社を含めた事業所間のベンチマークを行う動きがあるが、年齢構成および業種、職種の異なる事業所間において、疾病の有病率や健康診断の有所見率による比較は、解釈に困難を伴うことが多い。対象者の属性に依存しない労働機能障害の程度を測定するための調査票WFun(Work Functioning Impairment Scale)を用いた各対象者の合計点に基づいた、判定基準を考案した。これにより、年齢構成および業種、職種の異なる事業所間が可能になる。